この記事は「無害だが豊かでもないエ/ロ漫画を羨望する意味は何?」という記事の続きです。あんまりタイトルと関係ない内容です。すみません。
前の記事で、私のアルバイト先の本屋ではレディコミとアニメ・ゲーム関連のみ、過激なHシーンのある雑誌は紐で閉じているという話を書きました。その後、同じアルバイトの友だちから聞いたところでは、アニメ・ゲーム関連雑誌は18禁指定があって、それに則って紐で閉じているらしい。レディコミに関しては、Hなレディコミを長時間立ち読みしている少年がいたのがきっかけらしく「なんかヤバいんじゃない?」ってことで紐で閉じるようになったらしい。ちなみに、基準はその少年だったのでBL系はどれほどハードな内容でも紐はかけてないのだそうだ。なんだそれ。
この話のあとでその友だちと、どうして少年漫画のHシーンは規制されるのかという話をしていた。それは、「やっぱり(Hというのは)男がやる側だからじゃないの」という話も出たのだが、これが理由ならば、漫画の性描写とそれを読んだ人間の性行動の相関が実証されないと正当性がないような気がするし、そういうことを実証するのはかなり難しいんじゃないかと思う。
【性的表現規制に反対な理由】
一応言い訳がましいこと言うと、前の記事で「少年誌における性的描写への規制を解禁せよという主張には、なんとなく違和感」とか、「とっくにエ/ロ本買える年齢に達している男子ならば、なんでわざわざ少年誌でエ/ロをと主張するのか説明が欲しい」とか書いたのは、Hシーンに関しては規制があってしかるべきと考えていたからではなくて、純粋に何で規制に反対するのかが分からなかったから。
フェミニストと自称しておいてこんなこと言うのも何だけど、私は女権拡張論者でも男女平等主義者でもない。女の権利と権限が広がれりさえすればいいと考えているわけでもないし、男と女が同じ扱いになりさえすればいいとも考えていない、という意味で。基本的には自分の自由の為に私はフェミニズムを利用しているにすぎない。だから、逆に、ある局面だけ見て女(/少女)と男(/少年)の扱いがイコールではない、ただそのことのみをもって批判している人の動機があまり理解できない。少年誌でエ/ロが規制されていることが一体あなたのどんな自由を奪っているのか?、何が問題の核心だと思ってそう主張するのか?、と尋ねたくなるのだ。それに回答する責任も義務もないけどさ。
単純にエ/ロが見たいんだという話ならば、レンタルビデオ屋に行っても、漫画喫茶に行っても、ゲーム屋行っても、あきらかにヘテロ(異性愛)男向けエ/ロの商品の方がヘテロ女向けエ/ロ商品に比べて量も種類も多い。エ/ロの規制つったって少年が買えそうな雑誌でエ/ロシーンがあるものだってたくさんあるだろうし、逆に「少女コミック」はエ/ロシーン満載でも「りぼん」や「なかよし」なんてエ/ロほとんどないだろうし。
少女漫画でエ/ロが描かれているから、という理由ではなく、単純に少年漫画でエ/ロが規制されること自体がイヤっつーことなんだろうか?そしてそれは何故?
ちなみに私が少女漫画のHシーンに好印象を抱いていないにも関わらず規制するのに反対なのは(ちなみに少年漫画に関しても性的という理由だけで規制するのは反対)、少女が性に関わる情報を得られるチャンネルが非常に少ないという理由による。学校の性教育にしたって今はどうだか知らないけど、私の時には性感染症や月経・妊娠についての知識だけで、自分(女)の性衝動についての知識なんてこれっぽっちも題材にならなかった。マスターベーションが異常ではないとかそいうことも性教育の一環として教えられた、男性諸氏が大変羨ましい。
【それでも規制が必要な理由】
しかし、「これはどうなんだ?お子様に見せてはいかんだろう。」と思うものが無いのかと言ったら、そんなことはない。前の記事で、今の少女漫画のHシーンについて「他者を傷つけるようなH行為の欲望は喚起されたり肯定されたりしそうもない、という点では非常に安全」と書いておいてなんだけど、規制すべきという正当性を、その性描写が読者の現実の性行動と関連があるかないかで考えることには少々問題があるような気がしてきた。
例えば、私は映画が好きなのだが、女性をレイプするシーンのある映画は、例えレイ/プを否定的に描いているのだとしても、よっぽどのことがない限りは見ないことにしている。そういうシーンを見ると、気分が悪くなるからだ。気分が悪いというのは不愉快だということではなくて、本当に具合が悪くなるというか気が滅入るというかとにかくヘコむ。しかも、そういうシーンがあることを知って身構えているときならともかく、知らずにそういうシーンに出くわしてしまうとさらにショックがでかい。別にリアルな強姦シーンでなくても、コメディの中のワンシーンでも駄目だし、最終的に強姦された方が強姦した方を好きになるとかいう正当化がなされていても、とにかく駄目、ヘコむ。
暴力的な性交が描かれていることは、もちろんそういう描写を好む男女がいることは承知の上だけれども、一方では、例えそれが実際の性犯罪の要因にならないのだとしても、ただ見るだけで傷つく人もいるということを忘れていた。規制というと自由を制限するものと考えてしまいがちだけれども、私たちには、見る自由だけではなく、うっかり見てしまわない自由も保障されるべきなのじゃないだろうか。そういう意味で、「これには暴力的シーンや性交シーンがありません」とあらかじめ保証されているメディアの存在はやはり必要であるように思う。
この文脈で言えば、少女漫画のHシーンが「安全」かどうかは、個人の判断に委ねられると言える。ただし、体制批判的でないことは確か。結局、一人の男を一途に愛する女の子の話ばっかなんだから。処女じゃなくても、極めて貞女の物語ですよ、少女漫画のエ/ロ漫画なんて。
この記事は「無害だが豊かでもないエ/ロ漫画(3)」(『ないしょのつぼみ』の感想)へと続きます。
2005年12月12日
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